原神聖遺物厳選について

聖遺物を厳選したい。しかし、樹脂には限りがあるので戦略的に使いたい。ここに考えを書き出す。

様々な仮定を入れているのと、確率には手持ち聖遺物一覧からざっくり推測したものやネットで見つけたものを使っているので、参考にする場合は注意してほしい。

獲得確率

秘境で星 5 聖遺物が落ちた時、それが特定の聖遺物セット、スロット、メイン OP、サブ OP である確率を考える。なお、獲得時のサブ OP 付与と、Lv4 の 4 つ目のサブ OP の付与が同様で、付与確率が一様であると仮定する。これにより、初期サブ OP が 3 個の場合でも、内部的にはドロップ時に 4 個割り当てられていると解釈することが可能である。以下、この仮定のもとで議論を進める。獲得確率 $D$ を

$D(A, L, M, S) = p(A, L, M, S)$

$A$ : 聖遺物セット
$L$ : スロット (花/羽/時計/杯/冠)
$M$ : メイン OP
$S$ : 所望のサブ OP 4 個の集合

として、これにいくつかの仮定を入れて、以下のように分解できるとする。

$p(A) \, p(L) \, p(M | L) \, p(S | M)$

ここで、 $P(A)$ はたぶん 0.5、 $P(L)$ はたぶん 0.2 とする。

$p(M | L)$ は一様ではなさそうなことが分かっている。Reddit のスレ Headgear and goblet mainstat distribution (n=393 & n=373) : Genshin_Impact と自分の手持ち聖遺物分布 (要出典) などから、以下を仮定する。

M \ L	時計	杯	冠
攻撃%	0.25	0.2	0.2
防御%	0.25	0.2	0.2
HP%	0.25	0.2	0.25
会心率			0.1
会心ダメ			0.1
治癒バフ			0.1
各元素/物理バフ		0.05
熟知	0.1	0.05	0.05
元チャ	0.15

$P(S | M)$ はメイン OP がサブ OP 候補 $\mathcal{S}$ (HP、攻撃、防御、HP%、攻撃%、防御%、会心率、会心ダメ、熟知、元チャ) かどうか $F \equiv \boldsymbol{1}_{\mathcal{S}}(M)$ で異なる。また、サブ OP 自体の選択確率は、自分の手持ち聖遺物 (要出典) に基づき一様と考えると、所望サブ OP の個数 $N_S$ で決まり、

$P(S | M) = {}_{10 - F - N_S} C {}_{4 - N_S} / {}_{10 - F} C {}_{4}$

となる。これを表にしたのが以下である。

$N_S$ \ $F$	0	1
0	1	1
1	84 / 210	56 / 126
2	28 / 210	21 / 126
3	7 / 210	6 / 126
4	1 / 210	1 / 126

例えば、七門鎮螭密宮で星 5 聖遺物が落ちた時、それが火魔女の炎バフ杯で、サブ OP が会心率、会心ダメ、熟知、攻撃% となる確率は、

$0.5 \times 0.2 \times 0.05 \times 1 / 210 = 0.0000238$

となる。

樹脂換算

Lv90 秘境では、樹脂 20 で星 5 聖遺物が 1 ~ 2 個手に入るが、その期待値は手元に参考になるデータがないのでさっぱり分からない。2 個目が落ちる確率を $\alpha$ とすると、星 5 聖遺物 1 個獲得に必要な平均樹脂は $20 / (1 + \alpha)$ となる。よって、ある聖遺物を獲得するまでの平均消費樹脂は

$20 / (1 + \alpha) / D(A, L, M, S)$

である。仮に $\alpha = 0.1$ として、前述の炎バフ杯について考えると、獲得するまでの平均消費樹脂は約 763942 となる。

強化成功確率

次に、聖遺物の強化が成功する確率を考えたい。問題を簡略化するため、サブ OP の強化上昇値 (4 つからランダムに選ばれる) は考えない。すなわち、強化成功とは指定のサブ OP が指定回数以上強化されること、といえる。

強化されるサブ OP の選択確率は一様だと仮定する。4 つのサブ OP がそれぞれ $a, b, c, d$ 回強化される確率は以下となる。

$p(a, b, c, d) = \frac{n!}{a! \, b! \, c! \, d!} (\frac{1}{4})^n$

$n = a + b + c + d$ は強化回数である。 $E = \{ E_1, E_2, E_3, E_4 \}$ を最低強化回数, $R$ を強化回数とすると、強化成功確率 $W$ は

$W(R, E) = \sum_{a=E_1,b=E_2,c=E_3,d=E_4}^4 [a + b + c + d = R] p(a, b, c, d)$

となる。例えば、4 回の強化で会心率が 2 回以上、会心ダメが 1 回以上強化される確率は、

$W(4, \{ 2, 1, 0, 0 \}) = 0.133$

と求められる。

獲得〜強化の成功確率

前述の議論では初期サブ OP の個数が陽に含まれていなかった。初期サブ OP の個数は、手持ちのデータ (要出典) によると概ね 1/3 で 4 つになるように思われる。それを考えて、獲得から強化まで成功する確率は、以下で計算できる。

$D(A, L, M, S) [ W(5, E) + 2 W(4, E) ] / 3$

運用方法

前述の確率は聖遺物厳選の方針を立てる時にいろいろと役立つはずだ。以下、いくつかの例をあげる。

厳選の大変さ

$p(M | L) \, P(S | M)$ を眺めると、厳選は以下の順で大変である。

	倍率
杯 (元素/物理バフ)	x33
杯 (熟知)、冠 (熟知)	x20
冠 (治癒バフ)	x16.67
時計 (熟知)、冠 (会心率/会心ダメ)	x10
時計 (元チャ)	x6.67
杯 (攻撃%/防御%/HP%)、冠 (攻撃%/防御%)	x5
時計 (攻撃%/防御%/HP%)、冠 (HP%)	x4
花、羽	x1

所望のサブ OP が 4 個ある時、花/羽の厳選終了までに消費した樹脂を 1 として、それに対する倍率で並べている。

元素/物理バフ杯はもっとも厳選しにくいので、基本的にはセット効果が揃うことは期待しない方が良い。この場合の倍率は、計算式に含まれていない他秘境の周回数などに影響を受けるのだが、仮に今ある 6 つの秘境をそれぞれ同じくらい回ると考えると、x2.75 程度となるだろう (本当は剣闘士/楽団も考慮する必要がある)。

この倍率の逆数は、サブ OP の盛りやすさと解釈もできるので、サブ OP で実現したいステータス値が決まっている場合は、その盛りやすさの比でスロット毎の目標値を決めると厳選がより効率的となる。例えば、よくある攻撃%時計、元素バフ時計、会心冠の場合、花:羽:時計:杯:冠は概ね 1 : 1 : 0.2 : 0.4 : 0.1 である。つまり、サブ OP で会心率を 40% 盛りたい時は、14.8 : 14.8 : 3.0 : 6.0 : 1.4 とするのが効率良い。これを会心率の強化回数で考えると、概ね 3.5 : 3.5 : 0 : 1 : 0 あたりを目指せば良いことになる。

不要サブ OP は何個まで許容するか

$P(S | M)$ を見ると、不要サブ OP が 0 個の聖遺物を掘るには、不要サブ OP １個に比べて、6 ~ 7 倍ほどの周回数が必要となる。不要サブ OP 1 個が一度も強化されない確率は 24 ~ 32% ほどあるため、よほど厳選が煮詰まってきてなければ不要サブ OP 1 個は許容しても良いだろう。

不要サブ OP 1 個は不要サブ OP 2 個に比べて、周回数は 3.5 ~ 4 倍必要となる。ただし、不要サブ OP が 2 この時、不要サブ OP が 1 度も強化されない確率は 3~6% と低い。不要サブ OP の強化を 2 回まで許容したとしても、12.5% (5 回強化時) / 25% (4 回強化時) の勝率しかないので、微妙である。

なお、これらは不要サブ OP 以外はどれが強化されても OK という場合であり、それ以外のケースは個別に強化成功確率を計算して判断する必要がある。